錦繍
- 作者: 宮本輝
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1985/05/28
- メディア: 文庫
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ってのも、その社長、V字回復を成し遂げたって功績はあるものの、見た目もしゃべり方も、冷徹そのもの。
たまにマスコミに登場していた時だって、「もう少し感情込められへんのかなあ?」と思ってたくらいなんです。
その社長が、しっとり情緒の世界を書く宮本輝?
対極だな、と思ったので。
内容は、昔夫婦だった男女が偶然にも再会し、手紙のやりとりにより、離婚の時に通じ合えなかった気持ちと、自分達のその後を紐解いていくって話です。
やはりしっとり、大人の男女の世界です。
ところどころに、題名の錦繍を連想させる鮮やかな赤が、背景に出てきます。
キーになるのが、モーツアルト。
モーツアルトを聞いて感じた主人公の「生と死」についての言葉が、周りの人々を動かしていく・・・。
と、久々に読むこんな小説もいいもんです。
私としては、続編を作って欲しい!と思いました。
ただ、やはり興味深かったのは、あのロボットみたいなしゃべり方をする前社長が何を思いながら、毎年この本を読み返すのか・・・。
謎は解けないまま。いつか、また50代に読んでみたい作品です。