聖女の救済、武田信玄(漫画)、のぼうの城

○聖女の救済

聖女の救済

聖女の救済

両親とも好きな東野圭吾の作品。
東野圭吾の作品らしく読みやすく、犯人は分かっているはずなのに、謎は、なかなか解けない、もしや別に犯人が?と思いながら次々に読みすすめられる作品である。

「さあ、さっくりミステリーを楽しもう」という方には、うってつけではないかと思う。


が、ドラマ以降、配役:福山雅治柴崎コウの印象が強すぎて、もはや他の映像が浮かばないのは、残念といえば、残念だ。

そして、東野圭吾作品全般にいえることだが、最近、多作過ぎで、少し作品の濃度が薄まっていると感じるのは私だけであろうか。

「とりあえず、観光地で人殺しときましょう」みたいな、私の大嫌いな火曜サスペンス系の作家に近づいてるのでは?という危惧感すら感じてしまう。


ともあれ、この作品自体は、星4つ(5つ満点で)の秀作ではあることは確か。

好きな作家だけに、星5つを期待しすぎなのかもしれない。





○漫画 武田信玄(1)〜(5)

武田信玄」誰でも一度は名前を耳にした事があると思う。


私も「武田信玄」「風林火山」「上杉謙信の宿敵」など、関連する単語は思い浮かぶものの、さて戦国時代をどのように戦った人なのか、詳しい本を読んだ事がなかった為、その点である単語がつながって、どういった面になるのか、はっきりと知らなかった。

実はこの本、私にとっては、一冊目の途中で長い間、頓挫していた漫画である。

はまらないと、この横光さんの絵が辛いの何の。

まずは、誰が誰だか、よく分からない。女の人はちっともきれいじゃない。

が、実は、小説の三国志にはまったのも、この横光さんが描いた漫画から。


しっかり読めば面白いに違いない!と思って読み進め、途中から期待通り、夢中になった。読み終わった感想は、一言で言うと、あまりにも単純であるが、「信玄はすごい!」に尽きる。


作戦を練る力、先を見通す力、人を動かす力。


どれを取っても秀逸しており、しかもバランスが取れている。


最後の締めくくりの言葉通り、後、信玄が5年長生きしていれば、日本の歴史は変わっていたに違いないと、思わず、もう一つの日本の歴史を自らの想像によって作り出したくなるような作品である。

これを機に、他の「武田信玄」を題材とした本、武田信玄を別の視点から追った本等を読みたくなった。



のぼうの城

のぼうの城

のぼうの城

「未だかつてこんなリーダーがいただろうか?」の帯のコピー通り、これがリーダー?と読み終わった最後まで、どこか納得のいかない思いが残る作品。

これも、友人から借りたのだが、その際、「途中までは、ものすごく読みにくいから」と散々念押しされた。

その通り、中盤までは、話は動かない。例えていうなら、ジェットコースターが、長い長い坂をゆっくりゆっくり登っていくようなもの。

あまりにもゆっくりすぎ、特に私は、読み始めたのが12月の多忙な時期だったせいか、そこで遅々として、読後ページ数が進まないこと、1ヶ月強。



ある地点まで来て、一気にジェットコースターが、駆け下りる。その後は、うねる!まわる!



気付けば、もとのなだらかな始発と同じ終着点に到着している、「ふう、今のは、一体なんだったの?」そんな心地よいしてやられた感が味わえる作品である。