真鶴

真鶴

真鶴

会社の先輩が貸して下さったもの。
母より、少し上の年代の女性が主人公。
高校に入ったばかりの娘がいる。
夫は12年前に失踪、それから間もなくしてから付き合い始めた恋人がいて・・・。


と、長くなったし、ややネタバレなので、続きは興味のある方のみで。


という設定の中で、主人公が現実と幻覚の中を交錯する様子が描かれています。





女である自分、娘である自分、母である自分。





娘の思春期、恋人とのすれ違いので感じる孤立感が、幻覚の中の’女’を呼ぶ・・・。

という内容。




その中でも、母は、やはり’母’としての主人公と娘のかかわり合いに興味を持ちました。




異物が身体に宿った時の感じ、自分のお腹の中で育っていく時の一体感、そして徐々に言葉を覚えていき’人間’となっていく様子は、自分がまさに体験したところだけに、こういう表現があるんだ、そうだった、そうだったと頷く場面が多い。



女親だからこそ、味わった感覚を思いだします.




だからこそ、玄武や花梨が思春期になって離れていく時、かつて自分の一部だったものがどこか遠くにいってしまうような、こんな複雑な感情や想いを持つのかもしれない・・・。



と、母は、一種の’子離れ記’として、興味深さを感じました。

まっどっちかいったら、昔の日本映画的な、少し暗さの漂う情緒を味わう感じの本です。